こうだ邦子さんからの回答(画像、テキスト)

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こうだ邦子さんからの回答

 

*下は、ご回答いただいたファイルからテキストを抜き出したものです(内容は、上で画像で示したものと同一です)。見やすさのため、パラグラフ冒頭は一字下げ、タイプミス等については(ママ)と記入しています。

 

◎埼玉県知事選/「ジェンダー平等埼玉」候補者アンケート 

 

 

(1)ハラスメント防止

 

 パワハラやセクハラ等ハラスメントは誰もが当事者となるかもしれない、見過せない人権問題です。小・中・高校・特別支援学校では、セクシャリティ教育は人権とジェンダー平等を学ぶ教育であるという観点のもと、医師や助産師など専門家と連携した授業展開を充実させるべきと考えます。インターネットやSNSには性に関する情報があふれるように流れており、メディアリテラシーを養う必要もあります。SDGsにも若い人たちへの性教育の重要性が教育・保健の両面から盛り込まれていますので、教育局と知事部局の横断的な取り組みを進めます。

令和元年6月5日に女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律が公布され、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法が改正されました。職場におけるセクハラ対策や妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策は事業主の義務であることを事業主の理解を得られるよう取り組みます。

 それでも被害者となってしまった県民の方々に対しては、相談や苦情に応じ適切に対応するための行政窓口の充実に務めます。県庁職場のハラスメントに関しては、外部通報窓口や第三者委員会の設置、ハラスメントを許さない組織風土を作っていきます。

    

(2)男性の育児休業取得

 

男性が育休を取得しづらい理由として「仕事の代替要員がいない」「収入が下がる」などが挙げられます。県としても育休取得推進企業を支援する国の「くるみん認定/プラチナくるみん認定」の制度認知を高めること。男性労働者に育休を取得するよう積極的に促すことで業績向上につなげている県内中小企業をロールモデルとして紹介することなど、あらゆる角度からの取り組みが必要です。

また男性が育休を取得する前提として、仕事量を可視化して労働時間と業務分担を適正化することが求められます。民間企業に限らず公務職場も同様です。県庁による市町村行政支援のひとつとして、県内同規模自治体のベンチマーキング支援に積極的に取り組みたいと考えています。これは、介護や税など長時間労働が発生しやすい基幹業務において、業務プロセスやコストパフォーマンスを〝見える化〟し、よい取り組み事例を互いに共有しながら業務改善を進めるものです。性別役割分業意識から長時間労働をせざるを得なくなっている男性職員(社員)が育休を取得できるよう、率先垂範で意識変革をしていきます。

 

(3)子どもの貧困対策解消

 

 埼玉県がこれまで進めてきた体系的な施策による「貧困の連鎖解消」への取り組みは、不登校率や高校中退率の改善といった数値で表れており、一定の評価をしています。これは、担当職員個々の熱意と、事業を実質的に担っている民間団体との長年にわたるイコールパートナーシップによるものと受け止めています。

 今年6月に子どもの貧困対策推進法が改正され、貧困対策大綱の見直しが閣議決定される見通しです。県としても貧困実態調査の結果を踏まえ、貧困状態の子どもや家庭の実態に即した財源・資源の配分を行うべきです。学習支援の「アスポート」事業はアウトリーチと訪問支援のさらなる充実を期待します。さいたま市では長年にわたり同様の学習支援事業の委託先が今年度から大手学習塾に変わり、大きな混乱が起きていると聞いております。福祉的側面の強い子どもの貧困対策事業において、委託金の安さだけで競う一般競争入札は事業の選定手法としてなじみません。県としても、対象児童生徒の最善の利益を考えた制度設計にしていくことはもとより、〝資金提供者〟たる県民も納得できるソーシャルインパクトを提示していくことや、ボランティアの皆さんの満足度を高めることなど、その成果指標や支援の評価軸を明確にし、子どもたちのためにしっかりと事業を継続していく必要があります。

 県の職員が受け身では、子どもの貧困対策は進みません。県の職員が、見えないところ、聞こえにくい声に意識を研ぎ澄ませる姿勢が大切です。

 

(4)女性の就業/埼玉版ウーマノミクス

 

 上田知事がウーマノミクスを県の三大政策のひとつに掲げ、就労機会の拡大とM字カーブの解消に着手したことは評価します。しかし、女性の労働力は上昇してもなお、非正規雇用の割合が圧倒的に多く、職場での女性の地位は低いと言わざるを得ません。労働市場の逼迫だけで男女格差が是正されるには不十分で、女性たちは産むこと・働くこと・活躍することを上から同時に求められ、時に息苦しさを感じているように思えます。単なる「職場の確保」「労働力の利用」でなく、働く女性の精神面での負担を軽減する施策を今後のウーマノミクスに取り入れていきたと考えます。企業経営者や人事担当者の中にある正社員至上主義的なイメージを払拭し、多様で柔軟な雇用形態を推進することが企業利益をもたらすこと。多様な働き方を理解しあった上での同一労働同一賃金を実現すること。県としてそうしたことを周知し、また病児保育や放課後児童クラブの増設、テレワーク拠点整備などに力を入れ、無理なく安心して働くことできる環境整備に努めていきます。

 

(5)DV防止とDV被害者支援

 

 DVに端を発した最近の事件の中には、子どもが死亡する案件、女性自身が配偶者等からDVを受けていると認識していない案件も多くあります。DV相談支援センターへの相談件数は年々増加していますが、自ら相談できない人も多く、被害は氷山の一角でしかありません。DV防止と被害者支援に最も重要なことは、一人ひとりのニーズに早期対応できる支援制度の整備と、母親へのDVと子どもへの虐待を一体的にサポートすることです。被害の背景には、夫婦・パートナー間の離婚等の問題、就労の困難や経済的困窮、親きょうだいとの関係悪化、心身の病気や障害、子どもの発達の悩みなどさまざまな要因が潜んでいます。最初に接する自治体行政窓口の生活相談・福祉・子育て・生活保護・学校等が連携をし、DV発見の端緒をつかむスキルを各職員が身に着け、専門機関につなげることが重要になってくると考えます。しかし実際には、心臨床心理士やスクールカウンセラー、SSWなど専門職の配置は不足しており、県としてはそうした人的支援を積極的に行っていきたいと考えています。

 

(6)性暴力被害者支援

 

 内閣府の「男女間の暴力に関する調査」によると、相談先として「警察」「医療機関」に相談する割合はともに非常に少ない現状にあります。被害の性質上、事実を表に出すこと自体をためらい、支援を求められない方が圧倒的に多いのではないかと拝察します。

 埼玉県においてはまず、支援センターの機能と県内226の協力病院の存在を知って頂き、アイリスホットライン利用も広く県民に周知していくことが第一だと考えます。その上で、診療や証拠物採取など急性期対応が24時間可能な病院拠点型もつくることも検討していくべきと考えます。6月定例会で質問があった大宮日赤の拠点センター化は、人材確保や運営資金面などに課題があります。県としても国による病院への助成や診療報酬の改善を要望したり、専門医や支援員の確保を併せて進めていく必要があります。 

  

(7)セクシャル・マイノリティ

 

 国内でも同姓カップルが結婚できないことは違憲だとする訴訟が全国で提起されています。差別をなくすための実効性ある法律や同性間のパートナーシップを保障する法律の整備(民法改正含む)の検討は本来国で取り組むべきテーマです。

県内では各自治体が国に先行する形でパートナーシップ制度等の導入が進んでいますが、本県でも男女平等参画推進条例の改正によってLGBTQSOGIへのあらゆる偏見や差別禁止、性の多様化について、男女平等参画推進条例の中でどのように扱うべきか、県民の意見を聞きながら検討すべきと考えます。また、パートナーシップ制度による実質的な生活支援、成長期に合わせた教育現場での対応の充実、アウティングの禁止などについても、当事者の声を聞くことが重要と考えます。

 

(8)県庁の女性管理職比率の改善

 

埼玉県庁でも働き方改革を進めていくために女性管理職の数値目標を明確に掲げるべきです。一方で、政府が進める「2020年に指導的地位に女性が占める割合30%」の目標到達は、現在の職員総数や管理職総数が劇的に変わらないことを踏まえると、実現困難と言わざるを得ません。今後における人事管理面の改革推進施策と併せ、しっかりと数値目標を掲げていきたいと考えます。具体的には、時短勤務のマネジメント支援やメンター制度の導入、女性職員が少ない(=時間外勤務が多い傾向にある)企画部門や財政部門への配置、女性職員が受けづらいとされる昇任試験制度の見直し、家族の介護や傷病治療と仕事の両立支援など。女性管理職が増えるということは男性職員にとっても働きやすい公務職場になるということです。そのために、男女共同参画や人事管理を所管する副知事職に女性を登用することも検討してまいります。

 

(9)県防災会議の女性委員増加

 

5号委員は一律の充て職ではなく、防災分野に直結する実務的なさまざまな部局の女性管理職(課長級以上)を登用すべきと考えます。

 8号委員(学識経験者や自主防災組織等)については、地域防災について見識を持ち、実際に地域コミュニティの中で活動している女性団体▽子育て団体▽福祉▽保育▽教育の関連団体等へ広く直接、女性委員就任を呼びかけます。

女性委員の割合が3割を超えれば、男女共同参画の視点での防災議論はもっと進むと考えます。避難所など災害被害の現場において避難所の設置運営は男性の役割、炊き出しや掃除は女性の役割などといった固定観念をなくしていくこと。衛生用品や下着の配布、授乳・着替えなどのゾーンニング、女性の身の安全の確保などの点で女性リーダーの存在は欠かせません。ひき続きの人材確保と育成が求められます。平常時から女性が各自治体の避難所運営委員会や防災訓練に参加したり、地区防災計画の策定に参画したりすることで視点が広がり、男性も女性も、障害を持つ方もすべての方が参画できる防災の取り組みにつながります。

 

10)県立高校の男女共学化

 

 男女別学については、性差だけで希望する高校に入れない・学べないという現状は、男女共同参画の社会づくりのために改善していくべきとの意見があります。一方で、現在ある男女別学県立高はそれぞれが特色ある学校づくりを進めており、これまでの男女別学の歴史を否定することなく未来志向で、ジェンダー平等社会とグローバル社会を生き抜く子どもたちの教育のために、どのようなあり方が適切なのか、広く県民の意見を聞きながら、丁寧に議論すべきと考えます。実際、現在の教育局の県立高再編計画は在校生や卒業生、学校を支えてきた地元自治体など当事者が置き去りにされ、毎回説明不足、あまりにも乱暴な進め方にみえます。

 ジェンダー平等に対して教育が担う役割は大きく、別学の共学化はそのスタートラインに過ぎません。本当の意味でのジェンダーフリーにしていくために、県の学校教育全体での男女平等教育を進めていきたいと考えています。  

  

11)その他

 

 2020年4月から会計年度任用職員制度が本格施行します。

非正規公務員の多くは女性であり、その待遇改善は、公務で働く女性の能力と意欲を活かすこととなり、県にサービス・業務の質を改善することにもつながります。

上田知事の「最少で最強の県庁」というスローガンのもと正規職員の定数削減が行われ、保育や教育の現場、児童相談所やDV関連、男女センターの事業コーディネーター、キャリアコンサルタント、福祉の窓口等々、行政の対面支援・ケア労働の多くが女性の非常勤職員によって支えられています。そうした仕事を担っている方は専門的な知識や経験を有する優秀な人材です。

そうした中、会計年度任用職員制度が開始されるわけですが、法的な位置づけを与えた一方で、高度で重要な仕事を担っていても労働時間契約がフルタイムより短い「パート」を女性が希望すれば、従来通りの低賃金・低待遇を固定化するのではないかと懸念しています。

わたくしは参議院議員としての12年間、一貫して「同一労働同一賃金」の政策に力を注ぎ、議員立法「政治分野における男女共同参画推進法」の議連事務局長として尽力して参りました。埼玉県のかじ取り役を担わせて頂けましたら、公務職場を労働時間の長短や正規・非正規といった雇用(任用)形態の区別ではなく、職務で評価する組織に変えていきたいと考えています。

 女性もは働きやすく、能力と意欲を活かせる埼玉県にすることにより、県民が安心して暮らせる社会づくりの基礎にしていきたいと思っております。