Q10について

ページの一番下に、解説をおきましたので、ぜひお読みください。

10)県立高校の男女共学化について

 公立高校の男女共学化は、戦後全国で進められてきましたが、2018年に98.4% になりました。しかし、埼玉県は、現在でも男女別学の公立高校が10校以上あり、群馬県、栃木県とならんで、別学校が残っています(注14)。埼玉県公立高校のこうした状況をどのように考えますか?

 

(注14)2000年以降では福島県、宮城県が公立高校の全学男女共学化を実現している。現在男女別学が残る県は、群馬県13校(19.7%)、栃木県11校(18.6%)、埼玉県12校(8.6%)(2019年の募集要項から算出)となっている。 


大野候補

 少子化への対応として、県立高校数の減少、特色ある学校づくりが必要です。その際、県立高校の男女共学化についても、学校統合のひとつの選択肢に成り得ると考えます。しかし、以前に、埼玉県でも県立高校の男女共学化を進める動きがあり、その際、男子校・女子校を問わず、当該高校の在校生、卒業生からの反対も多かったと聞き及んでおります。

 小中学校と違い、高校は自らの選択によって進学先を選べることから、男女別学による特色ある県立高校の存在を一概に否定するものではないと考えるところ、引き続きステークホルダーの間での議論を促進してまいります。

青島候補

 この問題は県民の声を丁寧に聞いて判断していくべきものと思います。

 別学校にはその伝統もあり、そうしたものも大切にしていく必要もあると思います。

(参考)行田邦子さん

 男女別学については、性差だけで希望する高校に入れない・学べないという現状は、男女共同参画の社会づくりのために改善していくべきとの意見があります。一方で、現在ある男女別学県立高はそれぞれが特色ある学校づくりを進めており、これまでの男女別学の歴史を否定することなく未来志向で、ジェンダー平等社会とグローバル社会を生き抜く子どもたちの教育のために、どのようなあり方が適切なのか、広く県民の意見を聞きながら、丁寧に議論すべきと考えます。実際、現在の教育局の県立高再編計画は在校生や卒業生、学校を支えてきた地元自治体など当事者が置き去りにされ、毎回説明不足、あまりにも乱暴な進め方にみえます。

 ジェンダー平等に対して教育が担う役割は大きく、別学の共学化はそのスタートラインに過ぎません。本当の意味でのジェンダーフリーにしていくために、県の学校教育全体での男女平等教育を進めていきたいと考えています。


【解説】

 埼玉県内の公立高校には、男女別学校(男子校、女子校)があります(浦和高校、春日部高校、川越高校、熊谷高校、松山高校、以上県立男子校。浦和第一女子高校、春日部女子高校、川越女子高校、久喜高校、熊谷女子高校、鴻巣女子高校、松山女子高校、以上県立女子校)。このことについて、2017年6月に就任した県教育長が、「個人的には西の方の出身なのでびっくりですが」と発言して注目されました(続いての発言は「埼玉県の人たちがいいと思ったら、悪いことでもない」でした)。別学校の数はもう少し多かったのですが(県立川口高校、不動岡女子高校など)、上記のように、現在、12校となっています。2002年3月、埼玉県男女共同参画推進条例が設置する苦情処理機関が、共学化の早期実現を求める勧告を出しましたが、埼玉県教育委員会の見解は、「当面は、現状を維持することとする」(2003年3月)というものでした。

 

 昨年4月、埼玉県教委は、県立高校の再編(高校数の減少)についての文書を公表し(「魅力ある県立高校づくり実施方策策定に向けて(再編整備の進め方)」)、別学校についても対象になるのではないかと報じられました(『埼玉新聞』2018年4月27日付記事)。この再編は、少子化に対応するためのものですが、その中で、別学校も含む、県立高校の在り方が、埼玉県の未来社会にとり重要な事柄となっています。

 

 全国でも珍しい県立男女別学高校の今後の在り方については、3氏とも広く県民の議論を促進し、意見を聴き議論・判断すべきとしており、この点で考えは共通しています。しかし内容には違いがあって、別学校の伝統を重視するもの(青島候補)、別学による特色のある学校としての存在を重視する見方(大野候補)がある一方で、行田さんは、ジェンダー平等やグローバル社会を生きる未来の子どもたちの教育として何が求められるかという観点から、学校教育全体で平等教育を検討するべきと指摘しています。今後、別学・共学是非論だけでなく、平等教育をめぐる県民による多様な議論につながるようであればと思います。

 

 同時に、教育局による県立高校再編計画づくりや説明などを不十分とする行田さんの指摘は、教育行政組織・運営にも改革の目を向けたものです。ジェンダー平等社会を目指し学校に注目するのであれば、教育行政組織や教員制度にも目を向けるべきです。次期知事には、県行政のトップとして未来をつくる重要な判断が求められていると思います。