7名の予定候補者の方々に質問状をお送りいたしましたが、うち、高木まり候補(立憲民主党・新人)、西田まこと候補(公明党・現職)、西みゆか候補(れいわ新選組・新人)、梅村さえこ候補(日本共産党・新人)から、ご回答いただきました(以上到着順)。大変ご多忙の中、ありがとうございました。関口昌一候補(自民党・現職)、上田きよし候補(無所属・現職)、加来たけよし候補(日本維新の会・新人)からは、ご回答いただくことができませんでした。(22.06.22)
1.日本は、世界経済フォーラムが2006年から実施しているグローバルジェンダーギャップ指数(GGGI)によるランキングで、156カ国中120位(2021年)です。そこで、ここから3問は、ジェンダー平等(男女共同参画)を進めるために必要なことについてのお考えを伺います。最優先課題は何だと思いますか?
高木まり候補
男女の賃金格差を埋めること
西田まこと候補
すべての女性が輝き活躍できる社会を目指すという社会全体の機運を醸成すること
西みゆか候補
ジェンダーの個別事例に関する教育の提供や負荷を受けた人たちの保護を実施し、現実的で無理のない改革を進める。
梅村さえこ候補
最優先課題は、男女の賃金格差を解消することです。賃金の平等はジェンダー平等を進める上での土台中の土台と考えるからです。現状では、正社員でも女性の賃金は男性の77.6%(厚生労働省の賃金構造基本統計調査2021年より)、非正規を含む平均給与は男性532万円に対して女性は293万円です(国税庁の民間給与実態統計調査より)。40年勤続で計算すると、生涯賃金では平均で1億円近い格差になります。賃金の格差は年金にも連動し、生涯にわたって大きな格差が続きます。
これらの改善のために、私たちは次のような政策を掲げています。
・企業に男女賃金格差の実態の公表と改善計画策定を義務付け
・女性が多く働く、ケア労働の賃金の引き上げ
・女性に結果として不利益を及ぼす「間接差別」の全面禁止
・罰則の設置や権限を持つ差別是正機関の設置など、実効ある法制度の確立
・正規雇用が当たり前の社会にし、全国一律最低賃金制度の創設と時給1500円への引き上げ
・長時間労働の是正、ハラスメント禁止、仕事と家庭の両立支援で、安心して働き続けられる社会の実現 ほか
2.ジェンダー平等(男女共同参画)を進めるために必要なことについてのお考えをさらに伺います。日本ではジェンダー平等がどうして進まないと思いますか?
高木まり候補
支配層が年長者でしめられがちなことと、空気を読む文化が、男女の役割を決めがちだから
西田まこと候補
無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に基づく慣習等の見える化や男女の置かれている状況を客観的に把握するための統計における男女別データの把握など、政策立案における基盤が不十分
西みゆか候補
歴史的にみて男性や家制度を中心に法律や制度が作られてきた。ジェンダー平等の取り組みは、個人レベルでの摩擦や負荷が生じる可能性も無視できず、個人に負荷がかかるため。
梅村さえこ候補
ジェンダーギャップ指数が世界156カ国中120位という日本のジェンダー平等の遅れの原因は、大きく2つあると考えます。
ひとつは、日本の大企業・財界と、そのいいなりになっている政府が、口では「男女平等」といいながら、実際には企業の利益最優先のために、女性をパートや派遣などの非正規雇用で安上がりの労働力として活用し、女性に主な家事・育児の責任を押し付ける一方、男性には長時間労働と単身赴任も受け入れる会社いいなりの働き方を押し付けてきたことです。そのための労働法制の改悪を繰り返し行う一方で、差別を改善するための法制度はきわめて不十分なままです。
もうひとつは、自民党の中で、戦前の天皇を中心とする国、男尊女卑の「家制度」復活を願う勢力が中心を占めていて、古い価値観を押し付けるゆがんだ政治になっていることです。これまで野党が共同で、選択的夫婦別姓や同性婚を認める法案を提案してきましたが、自民党の反対で実現できていません。
日本共産党は、こうした政治のゆがみを変えて、女性差別撤廃条約などの国際基準にもとづき、ジェンダー平等前進のために力を尽くします。
3.ジェンダー平等(男女共同参画)を進めるために必要なことについてのお考えをさらに伺います。女性議員を増やすためにはどうしたらいいと思いますか?
高木まり候補
クオータ制の導入 政党が積極的に女性候補を擁立する
(6月26日、ご本人から訂正の連絡がありましたので、「クォーター」を「クオータ」としました)
西田まこと候補
クォーター制について議論を進め、政治参画における女性の参画を推進する
西みゆか候補
日本の選挙は、時間とお金がないとチャレンジできない。
十分な所得と、仕事や家庭に加え、政治活動を行う時間が確保できるような風土づくりが必要。
梅村さえこ候補
各党が本気の取り組みで女性候補者を増やすことが必要です。そのために、国連が提唱する、あらゆる分野で「2030年までに男女50%50%」の目標を日本政府としても明確にすること、政治分野における男女共同参画基本法に数値目標の義務化を盛り込むこと、積極的差別是正措置の活用、議員や候補者へのハラスメントの根絶、家庭生活との両立支援の充実、民意を反映し女性議員を増やしやすい比例代表制度を中心とした選挙制度への改革、供託金の減額などに取り組むべきだと考えます。
4.以下の事柄について、賛成か反対かをお答えください。
①選択的夫婦別姓制度
②女性差別撤廃条約選択議定書の批准
③強制性交等罪における暴行脅迫要件の撤廃
④人工妊娠中絶における配偶者同意の廃止
⑤学習指導要領の改定(中学校性教育で性交について扱えるようにすること)
⑥同性婚を法律で認める
高木まり候補
賛成;①、②、③、④、⑤、⑥
反対;なし
西田まこと候補
賛成;①、②、③、④、⑤
反対;⑥
西みゆか候補
賛成;①、②、③、④、⑤、⑥
反対;なし
梅村さえこ候補
賛成;①、②、③、④、⑤、⑥
反対;なし
5.女性管理職(民間企業の課長級11.5%;2020年賃金構造基本統計調査)、女性役員比率(上場企業役員6.2%;2020年『役員四季報』)が増えないのはどうしてだと思いますか?
高木まり候補
家事・育児などケアワークが女性に偏りがちな上、ガラスの天井があるから
西田まこと候補
各企業における女性活躍の状況や男女間の賃金格差の実態の見える化
西みゆか候補
現在、管理職を務める年代の女性社員は、入社時に将来の役員への昇進が難しい職種で採用されている(男女雇用機会均等法は1986年に制定)。結婚や出産、子育てのために退職する例も女性の方が男性より多いことが原因だと思う。
梅村さえこ候補
雇用者に占める女性の割合は45%を超えているにもかかわらず、ご指摘のように管理職や役員比率は非常に低い水準のままです。その要因は、働く女性の半数以上がパートや派遣などの非正規雇用であること、正社員で働く女性も多くが転勤の有無、長時間残業などを理由に管理職への道が閉ざされたコースに配属されていること、妊娠・出産をしながら働き続けることが困難であること、女性に対する根深い差別と男女の役割分担意識などがあると思います。背景にはサービス残業も含む長時間労働、転勤などが当たり前とされる働かされ方の問題があります。これらの改善と、正規雇用化、間接差別禁止の強化、積極的な差別是正措置を活用しての女性の管理職登用を思い切って進めることが必要だと考えます。
6.子どもの貧困ならびにシングルマザーへの政策について伺います。
①直接給付(児童扶養手当)の対象拡大と増額
②養育費の確実な支払いの確保
③大学生への生活保護費受給拡大(世帯分離しなくても受給できるようにする)
④公的な児童養護施設の入所年齢の延長
高木まり候補
賛成;①、②、③、④
反対;なし
西田まこと候補
賛成;①、②、③、④
反対;なし
西みゆか候補
賛成;①、②、③、④
反対;なし
梅村さえこ候補
賛成;①、②、③、④
反対;なし
7.災害、コロナ禍からの復興政策について伺います。災害や、コロナ禍のような感染症パンデミックでは、女性も含め脆弱な人々の被害がより大きなものになることが知られていますが、そうした被害からの復興政策として重要だと考えることをお答えください。
高木まり候補
女性や弱い立場の人々の現場の声をしっかり聞き政策にすること
西田まこと候補
被災者一人ひとりの状況に応じた支援プランを提供できるよう「災害ケースマネジメント」の制度化
西みゆか候補
医療体制の見直しと、徹底した補償と給付金による経済的支援。
梅村さえこ候補
命とくらしを最優先に、被災者や困難におちいった方々の生活再建のための支援を行うことが重要です。具体的な対策は次のとおりです。
・コロナ危機で収入が減少した方への1人10万円の特別給付金の支給をはじめ、助成金や支援金を継続すること
・被災住宅の再建・改修への公的支援の拡大と営業再建への支援強化
・消費税の5%への引き下げ、物価対策の強化
・小中学校の給食費無償化と学費の無償化、給付制奨学金の拡充
・住宅確保へ「住宅手当」や公営住宅の保障
・女性の相談窓口の拡充
・生活保護制度を「生活保障制度」に名称を改め、必要な人がすべて利用できるように拡充
こうした復興支援策が女性に役立ち、ジェンダー平等の視点が政策につらぬかれるように、検討・策定・実施のすべての段階に女性が参加し、女性の意見を反映できるしくみをつくることが必要です。
8.DV被害者支援について伺います。現在、以下の課題があります。必要性の高い順番にお知らせください。
①市区町村についても、基本計画の策定、配偶者暴力相談支援センターの設置について義務づける(現在は努力義務)
②保護命令制度を拡充、改善し、緊急性の高い事案に対応し、また、精神的暴力のみでも発令できるようにする
③いわゆる「デートDV」について現在のような「準用」ではないかたちにする
④公的シェルター(婦人保護施設)の改善
⑤加害者対策の強化
高木まり候補
② ③ ④ ① ⑤
西田まこと候補
④ ③ ① ② ⑤
西みゆか候補
① ⑤ ④ ③ ②
梅村さえこ候補
② ④ ① ⑤ ③
9.非正規労働者の待遇改善について、最も優先的に取り組むべきものは何ですか?
・同一価値労働同一賃金の実現
・最低賃金の平均1500円(時給)への引き上げ
・女性活躍推進法の省令、政令を改正し、事業主に対し、非正規で働く労働者について、男女間賃金格差の開示を義務づける
高木まり候補
最低賃金の平均1500円(時給)への引き上げ
西田まこと候補
同一価値労働同一賃金の実現
西みゆか候補
同一価値労働同一賃金の実現
梅村さえこ候補
最低賃金の平均1500円(時給)への引き上げ
10.自治体における会計年度任用職員制度について、問題が指摘されていますが、どのように改善すべきと考えますか? このままでよいとお考えの場合は、そのようにお書きください。
高木まり候補
非正規雇用に女性が就くケースが多いが、男女を問わず、非正規を減らすよう転換すべき
西田まこと候補
安心に働ける処遇改善
西みゆか候補
真に必要であれば、会計年度任用職員を正規の公務員として採用する。
梅村さえこ候補
会計年度任用職員制度は、非正規職員の処遇改善という当初の目的とはほど遠く、不合理な格差と不安定な雇用を押し付けるものとなっており、改善が必要です。コロナ危機でその重要性が改めて明らかになったように、住民の命と暮らしを守る自治体の仕事は本来、雇用期間の定めのない職員が担うべきです。家庭の事情などのためにフルタイムで働けない人は、短時間勤務の正規職員として働ける制度にすべきです。「官製ワーキング・プア」をなくすために、臨時・非常勤職員の賃金を引き上げ、正規職員との均等待遇、無期雇用への転換を促進します。
11.ジェンダー平等(男女共同参画)の視点からは、「世帯単位から個人単位へ」ということが言われており、諸外国では、税制や社会保障制度などの個人単位への変更が行われています。しかし、現在、日本の公的な制度には世帯単位となっているものがあります。どのような問題が発生しているでしょうか?
高木まり候補
個人の様々な生き方、多様な世帯のあり方に対応する制度が作れなくなっている
西田まこと候補
世帯としてはぎりぎり課税されているため、同居する高齢の個人に支援が届かないなど、生活困窮の実態にそぐわない税制
西みゆか候補
世帯単位の税制のため、女性が家計の補助的な立場で働いており、保育や介護など、従来から女性が多い職種が、他の職種に比べて低い賃金に抑えられてる原因となっていると考える。
梅村さえこ候補
「世帯主規定」は、DV被害者女性がコロナ危機の際の「特別定額給付金」を受け取れないなどの、大きな矛盾と混乱をもたらしました。憲法の両性の平等の見地とも反するものであり、廃止すべきです。
税制・社会保障制度においては、とりわけ女性の低年金が大きな問題です。誰もが年金を受けられる全額国庫負担による最低保障年金制度の創設をめざすとともに、パート労働者の社会保険加入の権利を保障し、重い保険料負担の軽減、低すぎる給付の引き上げをすすめます。税制・社会保障制度の見直しにあたっては、国民への増税・負担増ではなく、ジェンダーの観点と「応能負担」「生計費非課税」の原則に立って、どのような生き方を選んでも安心して暮らせる制度、社会保障の拡充をすすめることが必要です。
12.日本の合計特殊出生率は、長年にわたる「少子化対策」の実施にもかかわらず改善されませんが、これは、女性から支持されないためではないかと考えられます。希望する女性が安心して妊娠、出産するための政策として、どのようなものが好ましいでしょうか? 以下からいくつでも選んでください。
①男性の育児休業取得率ならびに取得期間の開示義務づけ
②事業主ごとに自社の出生率を毎年開示すること
③いわゆる「婚活事業」の予算拡大
④出産費用の無償化
⑤保育の質の向上(保育所の拡充と保育士の待遇改善)
⑥学校給食の無償化
⑦国立大学法人、公立大学法人の学費値下げ
⑧民法改正(選択的夫婦別姓制度の法制化)
⑨その他( )
高木まり候補
①、④、⑤、⑥、⑦、⑧、⑨(国民の所得の底上げ)
西田まこと候補
①、③、④、⑤、⑥、⑧
西みゆか候補
④、⑤、⑥、⑦、⑧
梅村さえこ候補
①、④、⑤、⑥、⑦、⑧、⑨(最低賃金を時給1500円にする。非正規雇用の労働条件の改善と正規雇用化。賃金引き上げを進めて若い世代や子育て世代の収入を増やすこと。児童手当の拡充。子ども医療費無料制度を国の制度として確立すること。高等教育の無償化と給付制奨学金の拡充。長時間労働を是正して仕事と家庭・子育てが両立できる社会にすること。社会全体でジェンダー平等を前進させること。)
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