Q2について

ページの一番下に、解説をおきましたので、ぜひお読みください。

(2)男性の育児休業取得について

 日本では、男性の育児休業取得がなかなか進まない現状があり(注2)、取得率向上に向けたもう一段の取組みが必要だと言われています。今後、取得率を大きく増やすために、どのような取組みが必要だと考えますか?

 

(注2)国の目標値は、2020年までに13%であり、埼玉県の目標値は、2020年度末までに15.0%となっている。現状は、民間企業5.14%、国家公務員10.0%、地方公務員4.4%(平成292017)年度の割合。『2019年版男女共同参画白書』)。埼玉県職員については、13.6%である(平成29年度。「平成30年度版 男女共同参画に関する年次報告」)。


大野候補

 これまで埼玉県では、男性の育児休業取得モデル企業として企業名の公表や男性育児休業取得者の経験談の公開等の取組みを行っています。

 しかし、男性の育児休暇に限らず、日本では、有給休暇自体の取得率が低い現状があり、社会全体の働き方に対する意識を変化させていく必要があります。そうした意味で、男性育児休暇取得を義務化したり、奨励金を交付したりする方法によらず、地道に、着実に、埼玉県全体での休暇取得に対する理解を促進していくことが大切だと考えます。市町村と協力して小中学校での職業教育を実施していくことも必要です。

青島候補

 男性の育児休業の取得率は約6%と言われています。また、取得した人でもその期間が極めて短期間(5日未満が6割)の実態があります。

 企業に対しては経済団体とも連携して、県民の方には様々な媒体を通じて、その必要性を訴え、男性が育児休業を取得しやすい環境の整備を図ります。

(参考)行田邦子さん

 男性が育休を取得しづらい理由として「仕事の代替要員がいない」「収入が下がる」などが挙げられます。県としても育休取得推進企業を支援する国の「くるみん認定/プラチナくるみん認定」の制度認知を高めること。男性労働者に育休を取得するよう積極的に促すことで業績向上につなげている県内中小企業をロールモデルとして紹介することなど、あらゆる角度からの取り組みが必要です。

 また男性が育休を取得する前提として、仕事量を可視化して労働時間と業務分担を適正化することが求められます。民間企業に限らず公務職場も同様です。県庁による市町村行政支援のひとつとして、県内同規模自治体のベンチマーキング支援に積極的に取り組みたいと考えています。これは、介護や税など長時間労働が発生しやすい基幹業務において、業務プロセスやコストパフォーマンスを〝見える化〟し、よい取り組み事例を互いに共有しながら業務改善を進めるものです。性別役割分業意識から長時間労働をせざるを得なくなっている男性職員(社員)が育休を取得できるよう、率先垂範で意識変革をしていきます。


【解説】

 「女性活躍」が言われる一方、「ワンオペ育児」という言葉が生まれ、改めて日本の子育て環境のおかしさに光が当たっています。子どもを持つ女性は、家事育児を一人で頑張り、働くことも期待されているのでしょうか? 男性の育児休業取得については、進めるべきとされながら、上記(注2)に記したように、ほとんど、と言ってよいほど、進んでいません。ぜひ、今年の『男女共同参画白書』に掲載された下の2つのグラフをご覧ください。それぞれ「I-3-12図 男性の育児休業取得率の推移」「I-3-13図 育児休業取得期間別割合」です。


 男性の育児休業取得は、これまで問題にされてこなかった「男性の働き方」を変える重要な手立てでもあります。それなしには、女性の働き方も適切には変わりません。企業では、女性にのみ焦点を合わせる対応が多く行われてきているようですが、「問題」なのは何でしょうか? それは「男性中心の雇用慣行等」(第4次男女共同参画基本計画第1分野)なのです。そして、男性の育児休業取得割合、取得期間の増加は、もちろん、日本の子育て環境を大きく変えることにつながりますし、さらには、(休業を取得した男性が、正しく子育てに取り組むのであれば)男性自身の人生にも、豊かさをもたらすものと思います。

 

 さて、大野候補は、埼玉県のこれまでの取り組みについて書いたのち、働き方全般の問題として有給休暇取得促進について記していますが、それによって、男性の育児休業取得が「さらに進むかどうか」は不明ではないのでしょうか(どうして「大きく進む」のか、書いてもらえるとよかったと思います)。そしてさらにいうなら、男性の育児休業取得の重要性を認識しているのかどうかわかりません。青島候補は、男性の育児休暇取得率の低さについて記しただけでなく、その期間が短いことを言っていますが、具体策の提示はありませんでした(重要だと思っているかどうか不明なのは、大野候補と同様です)。行田候補は具体策を示すとともに、男性のもつ性別役割分業意識についても言及しています。男性の働き方には、これが関わっていることを指摘しているものと思います。