Q9について

ページの一番下に、解説をおきましたので、ぜひお読みください。

(9)埼玉県防災会議の女性委員について

 埼玉県防災会議の女性委員数は8人(11.6%)(注12)と、全国的にみて低い状況が続いています(注13)。防災会議の女性委員の問題は、避難所などの災害被害の現場において女性特有のニーズが気づかれにくいなど、意思決定場面に女性をはじめとする多様な人々が参画しなければならないことを教えてくれる重要な事例となっています。今後、防災会議の女性委員を増やしていくために、どのような取組みが必要だと考えますか?

 

(注12)「地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況(平成30年度)」「都道府県・政令指定都市編(埼玉県)」(平成31320日公表)

http://www.gender.go.jp/research/kenkyu/suishinjokyo/2018/pdf/tdk/11.pdf

 

 

 

(注13)都道府県平均は15.7%(『2019年版男女共同参画白書』;http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r01/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-04-05.html 


大野候補

 ご指摘の通り、災害被害対応や防災において、女性の視点は非常に重要だと考えるところ、委員の登用をはかります。また、同様に他の審議会での女性委員比率に比べ、防災会議の女性委員の参加比率は非常に低く、改善が必要です。

 一方で、審議会委員には専門性も求められます。女性防災士、女性消防士等の育成にも力を入れることが大切だと考えています。

青島候補

 防災会議に女性委員を増やすことは、女性の視点を防災や避難所での対応に生かすことになり、大変重要なことだと思います。

 例えば、トイレ、着替え、寝る場所などに女性の視点を重視した対策が必要です。

 現状の女性の比率11.6%は少ないと思います。増やす方向で考えていきたいと思います。

(参考)行田邦子さん

 5号委員は一律の充て職ではなく、防災分野に直結する実務的なさまざまな部局の女性管理職(課長級以上)を登用すべきと考えます。

 8号委員(学識経験者や自主防災組織等)については、地域防災について見識を持ち、実際に地域コミュニティの中で活動している女性団体▽子育て団体▽福祉▽保育▽教育の関連団体等へ広く直接、女性委員就任を呼びかけます。

 女性委員の割合が3割を超えれば、男女共同参画の視点での防災議論はもっと進むと考えます。避難所など災害被害の現場において避難所の設置運営は男性の役割、炊き出しや掃除は女性の役割などといった固定観念をなくしていくこと。衛生用品や下着の配布、授乳・着替えなどのゾーンニング、女性の身の安全の確保などの点で女性リーダーの存在は欠かせません。ひき続きの人材確保と育成が求められます。平常時から女性が各自治体の避難所運営委員会や防災訓練に参加したり、地区防災計画の策定に参画したりすることで視点が広がり、男性も女性も、障害を持つ方もすべての方が参画できる防災の取り組みにつながります。

 


【解説】

 上記の通り、3人とも女性委員を増やす必要があると回答していますが、「どのようにして?」という問いに対する回答だと考えてよいものは、2人からしか得られませんでした。

 大野候補は女性防災士や女性消防士など防災に関する専門性を持った女性の育成、行田さんは、5号委員選定のあり方の改善と地域の女性リーダーを8号委員として積極的に活用すること、およびそのための人材確保と育成をあげていました。

 

 行田さんのいう「5号委員選定のあり方の改善」ですが、「5号委員」というのは、国の法律である災害対策基本法第15条第5項第5号の規定による委員のことで、規定は、「当該都道府県の知事がその部内の職員のうちから指名する者」となっています(つまり、県庁の職員のことでして、通常管理職が指名されていますので、管理職に女性が増えれば、増えていくことになります)。これについては、他県において、部長ではなく課長を指名して、増やしているところがあります。「8号委員」は、同条同項第8号のことで、2012年の災害対策基本法の改正により、女性委員を増やすことができるようになりました。この規定を利用した女性委員の増員は、全国的に行われていて、埼玉県においても、取り組み済みです)。

 

 ところで、埼玉県防災会議の女性委員は、現在「11.6%」なのですが、この数字は、問9の(注12)で掲げた資料の他、2019年版の『男女共同参画白書』に掲載されています(h30年の数字です)。埼玉県防災会議の委員は68人で、会長を入れた数(69人)で計算すると、女性委員は8人のようです(埼玉県は、防災会議の委員名簿について非公表としているため、このようなもってまわった書き方になりまして恐縮です。→ https://www.pref.saitama.lg.jp/a0402/chiikibo.html )。2012年の災害対策基本法改正に伴う増員で3人になったと思いますので、そこからは増えていますが、都道府県平均は15.7%ですので、少ないことは明らかです(最高は、上記『男女共同参画白書』によると、徳島県の48.1%で、最低は、広島県の3.4%です)。